新卒・中途いずれも「総合職」または「一般職」のどちらかで入社
はじめに、新卒、中途採用どちらも「総合職」または「一般職」いずれかの区分で採用されることになっています。(総合職はキャリア、一般職はノンキャリの位置付けとなっています。)
一般職という呼び方について、JR東海、JR西日本では「プロフェッショナル職」、JR東日本では「エリア職」と呼ばれています。
総合職と一般職の大きな違いは、異動の多さと昇進の早さです。
総合職は2~3年に一度、事業エリア全域を対象とした異動があります。昇進については新卒の場合、早ければ入社後10年程度で管理者へ登用されます。
なお、入社後に総合職から一般職、もしくは一般職から総合職へ採用区分が変わることはないため注意が必要です。そのため、将来、社長、役員になりたいと思っている人は一般職で入社してもなれることはないため、必ず総合職で入社しましょう。
総合職とは
総合職とは、いわゆる将来の幹部候補生です。JRでは、将来の幹部候補を入社時点で選抜し、総合職として採用しています。
自社、グループ会社の様々な職場、業務を経験したうえで、将来は幹部としてマネジメント手腕を発揮することが期待されています。
入社後の数年間は現場で経験を積むことになりますが、その後は支社や本社といった企画部門での仕事がメインになります。
事業エリア全域を対象に2~3年おきに異動があるため、職場、生活環境がコロコロと変わります。
短いスパンで職場、業務が変わる一方で、成果は一般職以上に求められるため、いかに早く異動先の仕事、人を覚え、行動していくかが大切になります。
人間関係については、どんなに嫌な上司、同僚がいたとしても、2~3年おきにリセットできるのは異動の良い点です。(人間関係が素晴らしく良い環境だったときは異動するのがとてもさ寂しくなりますが…。笑)
一般職とは
一般職は、各事業エリアにおけるエキスパートととして活躍することを期待されています。
各事業エリアのエキスパートとは、土地柄、気候を知り尽くしたうえで仕事ができるという意味です。
一般職は各事業エリアのエキスパート養成という面から現場第一線での業務がメインになります。
10年程度、現場での経験を積んだ後、支社、本社などの企画部門を経験するのが一般的です。
企画部門では、各系統において使用する予算の策定、予実管理といった現場業務のとりまとめを行う仕事がメインになります。
企画部門を経験した後は、管理者として現場へ戻り、人材育成や組織運営を担っていくことになります。
異動については、所属する事業エリア内での異動が基本となっており、現場のグループ間の異動も多いため、生活環境が一変するような異動は少ないです。
募集職種は「事務系」「運輸系」「技術系」の3系統に分けられる
入社後における仕事の領域は主に「事務系」、「運輸系」、「技術系」の3系統に分けられ、職種ごとの採用を行っています。
各系統への応募条件に、卒業学科の制限はありません。(とはいえ、技術系の職種で文系出身の方に会ったことが私はないですが…。)
総合職、一般職ともに、入社後に採用系統を変更することはできないため、系統の選択は注意が必要です。
運輸系ならば運輸系、技術系ならば技術系の系統内で仕事の専門性を高めていくキャリアプランとなっていることが背景にあります。
技術系は技術系の中で系統がさらに細かく分かれますが、採用時点では系統が決められず一括採用され、入社後に所属系統が決まる場合もあるため注意が必要です。
希望系統に所属するはずがまさか違う系統になるなんて…と後悔しないよう、所属系統がいつ決まるのかは事前に聞くようにしましょう。
事務系とは
事務系とは、主に総務、法務、財務、広報、経営企画などのバックオフィスの領域を専門とする系統です。
加えて、事務系は駅ビルなどの事業系の仕事をしたり駅員、車掌、運転士といった運輸系の仕事もしたりするため、仕事の幅が非常に広くなっています。
事務系は運輸系の職場(駅、乗務員区所)で仕事をすることはあるものの、技術的知見が求められる技術系の職場で仕事をすることは基本的にはありません。
なお、事務系は一般職における募集はなく、各社総合職のみの募集となっているため、注意が必要です。
運輸系とは
運輸系とは、駅や乗務員(車掌、運転士)関係の領域を専門とする系統です。入社後は基本的に駅員、車掌、運転士を経験することになります。
なお、車掌、運転士になるためには医学適正検査と呼ばれる身体検査に合格する必要があります。運転士は車掌に比べて基準が厳しいため、中には検査に合格できず、運転士を経験しない人も中にはいます。
また、在来線、新幹線車両のメンテナンス、改良といったを仕事をメインとする車両系も運輸系にふくまれます。
技術系とは
技術系とは、施設、電気関係を専門とする系統です。事務系、運輸系と比べ、系統の中においても細かく分けられているのが特徴です。
施設系統は、保線、土木、建築、機械の系統に分かれており、電気系統は電力、信号、通信の系統に分かれています。
技術系の基本的な仕事は鉄道運行に必要な設備(線路、橋脚、駅舎など)のメンテナンス、老朽化に伴う更新がメインです。
また、土木、建築系統の中には、リニア建設などの大規模工事を専門とする部隊も存在します。
技術系の場合、保線や信号といった鉄道固有の技術を専門とする系統を除き、基本的には自分の専攻と所属系統が一致している方が多い印象です。
募集職種は「総合職」と「一般職」でやや異なる
募集職種は、総合職と一般職で同じではなく、総合職の募集職種が一般職に比べて細かく分かれています。
先にも書いたとおり、事務系と呼ばれるバックオフィスを専門とする系統は総合職のみの募集となっています。
とはいえ、総合職の事務系社員だけではバックオフィス全般をこなせる訳ではないため、一般職の運輸系、技術系の人もバックオフィスの業務を担当します。
各社の募集概要と特徴
JR東海
JR東海では、総合職、一般職(プロフェッショナル職)のほかにアソシエイト職を加えた3つの区分での採用を行っています。
アソシエイト職の特徴は、系統の区分がないものの、総務、秘書、人事、財務、営業といった事務系に近い領域でキャリアを積んでいくことになります。
なお、アソシエイト職については、勤務地を東京・静岡・名古屋・関西の4地区から原則希望した地区で働けることとなっています。
■総合職
①事務系 ②運輸系 ③車両・機械系
④施設系 ⑤電気・システム系
■プロフェッショナル職
❶運輸系 ❷車両・機械系
❸施設系 ❹電気・システム系
■アソシエイト職:系統なし
JR東日本
JR東日本では、総合職、一般職(エリア職)の2つの採用区分で採用を行っており、JR東海、JR西日本と比べて総合職の募集職種が最も多くなっています。
ちょっと分かりづらいですが、列車制御システム・エネルギー・情報通信系とは電力、信号、通信系統を指しています。
2024年入社から採用区分は総合職なものの、ジョブ型雇用を始めることを表明しています。
ジョブ型対象とされている系統は「開発・不動産」、「Suicaサービス」、「データマーケティング」の3系統となっています。
■総合職(⑦-⑨はジョブ型)
①事務系 ②輸送・車両・機械設備系、
③線路・土木・建設系 ④建築系、
⑤列車制御システム・エネルギー・情報通信
⑥IT・デジタル戦略系 ⑦開発・不動産、⑧Suicaサービス、⑨データマーケティング
■エリア職
❶車両・機械設備 ❷線路・土木・建設
❸建築 ❹列車制御システム・エネルギー・情報通信
JR西日本
JR西日本では、JR東日本同様に、総合職、一般職(プロフェッショナル職)の2つの採用区分となっています。
募集職種は他社と比べると最もシンプルに見えますが、総合職では技術系の募集の中で運輸、施設、電気系に分かれているため他社となんら変わりません。
■総合職
①事務・創造系
②技術系(運輸・車両・土木・建築・駅機
械システム・電気・IT)
■プロフェッショナル職
❶運輸 ❷技術
まとめ
JR東海、JR東日本、JR西日本の採用区分、職種について理解は深まったでしょうか。就活や転職活動において少しでも役立てば幸いです。
1. 新卒・中途採用どちらも総合職(キャ
リア)または一般職(ノンキャリ)に
区分
2. 総合職は全事業エリア対象に2~3年
ごとに異動、早ければ10年弱で管理
者に登用
3. 一般職は各事業エリアのエキスパート
養成のため、現場での仕事がメイン
4. 職種は大きく分けて事務系、運輸系、
技術系の3系統
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